第3章 我が国における原子力開発利用の展開
2.放射線利用の推進

(4)資源・環境保全への利用

 放射線は,資源・環境保全にも広く利用されつつあり,下水汚泥の処理,排煙・排水の処理等に利用されている。
 日本原子力研究所では,石炭燃焼排ガスの有害成分である二酸化硫黄と窒素酸化物を電子線により除去する技術(排煙脱硫・脱硝技術),下水処理で発生する余剰汚泥の放射線処理による殺菌と速成堆肥化技術等の開発が進められている。特に,排煙脱硫・脱硝技術については,従来の方式に比べ,システムのコンパクト化による配置スペースの低減,経済性の向上等のメリットがあり,米国,西独においても,パイロットプラントが建設され,良好な稼働実績を挙げている。このため,化石燃料の燃焼に対する公害防止技術として,特に開発途上国を中心として各国の関心を集めている。


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