第10章 原子力産業
1.原子力発電関連機器産業

 原子力発電関連機器産業は,原子炉関連設備,原子力用発電機器等を供給する産業であり,現在,我が国においては主に5グループに分かれている。これらの各原子力産業グループは,それぞれ,その幹事会社を中心として,軽水炉に関し海外の大手原子力機器供給企業(GE,WH等)と技術提携を行い,これに基づく技術導入により国内の原子力発電所の建設を進め軽水炉技術の蓄積に努めてきた。

 また,これらの産業グループは,軽水炉関連のみでなく,国の研究開発プロジェクトへの参加を通して,新型転換炉,高速増殖炉などの新型炉,ウラン濃縮等の核燃料サイクル,さらには核融合等幅広い産業活動を行っている。
 我が国の原子力産業グループは,主契約者としての原子力発電プラントの建設経験も,建設中のものも含めれば44基と着実に経験を積み重ねており,また,最近の機器の国産化率は100%近くになっており,それらの設備利用率も極めて良好である。このように我が国の原子力発電関連機器産業は,軽水炉発電の分野については,導入技術の消化吸収を達成し,日本型軽水炉の確立を目指して,自主技術による軽水炉改良標準化計画を進め,技術的基盤を確固たるものにしている。今後は,第3次改良標準化計画に基づいて開発された改良型軽水炉にエネルギーセキュリティの確保及び経済性の向上に重点を置いて改良を加えた新しい型の軽水炉の開発等についても積極的に取り組みつつある。
 なお,我が国における原子力発電プラント市場の規模については当面横這いが予想され,また,国際的にみても,米国では新規発注がないなど世界的にみて生産設備は過剰気味であり,我が国においても欧米諸国においても,原子力発電関連機器の産業は厳しい状況に直面しているといえる。


目次へ          第10章 第2節(1)へ