第1章 原子力発電
2.原子力発電所の運転状況

(1)設備利用率

 商業用原子力発電所の設備利用率は昭和55年度に60%を超した後,着実に上昇し,昭和61年度は75.7%と前年度に引続き順調な稼動実績となっている。残りの24.3%については定期検査期間の停止が23.4%その他のトラブルや出力調整などで損失した部分が0.9%程度であり,我が国が各国に比べても慎重な定期検査を行っていることを考慮すれば,ほぼフル稼動に近く先進国の中でもきわめて良好な成績を示している。

 このように設備利用率が近年着実に向上してきた要因としては,次のような点が挙げられる。
① 従来,定期検査期間を長期化させていた初期トラブル等の対策作業量が減少し,また,定期検査が効率的に実施されるようになった。
② 設備・機器の改良,品質管理の徹底等による信頼性の一層の向上,燃料設計の変更(濃縮度の上昇)等により運転期間を長期化することが可能になってきた。
③ 予防保全を重視した品質管理,内外の事故・故障情報の活用等,事故・故障の未然防止対策等の徹底が図られるなど設備の信頼性の向上により,運転中のトラブルが減少してきた。


目次へ          第1章 第2節(2)へ