第2章 原子力研究開発の新たな方向 ―創造的科学技術の育成
3.先導的プロジェクト

(2)放射線利用の高度化

 現在,医療,工業,農林水産業など極めて幅広い分野で放射線利用が進展している。さらに,最近,高輝度のシンクロトロン放射光(SOR)や重粒子線などのビーム発生・利用技術の高度化及び新しいトレーサーを用いたポジトロン断層撮影装置(CT)などの放射性同位体(RI)利用技術の高度化が進められている。こうした放射線利用の高度化によって,新材料の創出,分析・計測技術の高度化,生体機構の解明,新医療技術の開発など,広範な分野で技術進歩を先導する効果が大きい。
 〔今後の計画〕
 原子力委員会においては,昭和61年7月放射線利用専門部会を設置し,今後の放射線利用推進のための研究開発の在り方等について審議を行い,本年2月報告書をまとめた。これを踏まえて新長期計画では,今後の放射線利用研究開発の進め方として,原子力利用に新しい途を拓き,幅広い科学技術分野での貢献が期待される新しいビーム発生・利用技術,トレーサー技術等,より高度な技術を生み出すことを目指した研究開発に重点を置いて推進することとしている。


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