第2章 原子力研究開発の新たな方向 ―創造的科学技術の育成
2.基礎研究及び基盤技術の開発

(2)基盤技術の開発

 前述したとおり,新長期計画では,原子力分野における共通的な課題を重視し,これを新たに基盤技術として,その開発を重点的に推進することとしている。
 これは,我が国においては,従来原子力発電の早期実用化を目指すことに重点が置かれていたために,既存技術のブレークスルーや創造的技術の創出に必要な幅広い技術的基盤が十分確立されているとは言い難いという認識に基づくものである。このため,新しい技術を創出し,ひいては,原子力技術体系のブレークスルーを引き起こす可能性のある基盤技術として,当面,次の4領域を取り上げ,これらの技術開発を重点的に推進することとしている。
① 原子力施設の機器・配管等を構成する材料技術(原子力用材料技術)
② 原子力施設のプラント制御,原子炉事故診断等の原子力施設への知的機能の付与に関する技術(原子力用人工知能技術)
③ 核燃料物質の調整,再処理,慣性核融合等広く原子力分野で用いられるレーザー技術(原子力用レーザー技術)
④ 国民の安全確保に関する知識の一層の充実に資する放射線のリスク評価・低減化技術(放射線リスク評価・低減化技術)
 なお,基盤技術開発の推進方策については,原子力委員会の下に設置された基盤技術推進専門部会において,審議,検討が行われている。


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