第2章 原子力研究開発の新たな方向 ―創造的科学技術の育成

 我が国の原子力研究開発においては,第1章で述べた原子力発電に係るものはもとより,核融合,放射線利用に係るもの等広範かつ多岐にわたる活動が国の重要研究開発分野として展開されている。これまでの研究開発による成果の蓄積の結果,我が国の技術力は,軽水炉技術などかなりの分野で欧米先進諸国に比べてそん色のない水準に達している。
 このような中で,これまで,国主導の下に,重点的に推進してきたプロジェクトのうち,遠心分離法ウラン濃縮技術,軽水炉再処理技術等については,第1章で述べたように民間による事業化を進める段階に到達している。これらを我が国の産業技術として確立するためには,官民協調の下に,民間の技術的基盤を確立しつつ経済性を達成していくという課題に取り組んでいくことが必要となっている。また,国は長期的視点に立つて原子力の持つ新たな可能性の開拓を目指し,先導的・基盤的な研究開発への展開を重視していくことが求められるようになってきている。


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