第1章 原子力発電の定着と今後の展開 ―基軸エネルギーとしての確立
5.プルトニウム利用への展開

(3)高速増殖炉使用済燃料の再処理

 〔意義〕
 高速増殖炉は,燃料として消費した以上のプルトニウムを生成することができるが,そのプルトニウムを再処理により回収し,再び燃料として利用することによって初めて増殖の特性を発揮することができる。このため,高速増殖炉使用済燃料の再処理は高速増殖炉にとって不可欠である。
 〔これまでの状況及び今後の計画〕
 高速増殖炉使用済燃料の再処理は高速増殖炉の開発と整合性をもって進めるべく動力炉・核燃料開発事業団において研究開発が進められている。その技術は,基本的には軽水炉使用済燃料の再処理技術をベースとするが,プルトニウム含有量が多い,軽水炉の場合より燃焼度が高くなる等高速増殖炉使用済燃料の特有の性質を踏まえて,高レベル放射性物質研究施設において基礎的データの蓄積,コールド試験によるプロセス機器の開発等を進めている。今後は工学規模でのホット試験施設により技術の確立を図るとともに,これらの成果を踏まえて2000年過ぎの運転開始を目途にパイロットプラントを建設することとしている。


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