第1章 原子力発電の定着と今後の展開 ―基軸エネルギーとしての確立
4.核燃料サイクルの確立

(2)軽水炉使用済燃料の再処理

 〔国内再処理の意義〕
 使用済燃料の再処理は,ウラン資源の有効利用を進めることにより,原子力発電に関する対外依存度の低減を図り,原子力によるエネルギー安定供給の確立を目指す上で極めて重要である。なお,使用済燃料に含まれる放射性廃棄物の適切な管理という観点からも重要である。
 このため,使用済燃料は再処理し,プルトニウム及び回収ウランの利用を進めることを基本とし,またプルトニウム利用の自主性を確実なものとする等の観点から,再処理は国内で行うことを原則としている。
 〔これまでの状況〕
 再処理技術については,これまで動力炉・核燃料開発事業団を中心に技術開発が進められてきた。
 現在,我が国の使用済燃料については,動力炉・核燃料開発事業団東海再処理工場において再処理を行うとともに,英国及びフランスに再処理を委託している。

 同工場は昭和52年9月に運転を開始して以来本年9月で10周年を迎え,これまでの累積再処理量は約347トンに達している。同工場においては当初機器の故障に見舞われたが,近年は昭和60年度73.5トン,昭和61年度69.2トンと順調に稼動している。
 また,海外再処理委託については,昭和61年には418トンの使用済燃料が英国及びフランスに運ばれている。
 〔最近の動き及び今後の計画〕
 今後は,東海再処理工場及び現在日本原燃サービス(株)が1990年代半ばごろの運転開始を目途に青森県六ケ所村において計画を進めている年間再処理能力800トンの再処理工場において,再処理を行っていくこととしている。また,国内における再処理能力を上回る使用済燃料については再処理するまでの間,適切に貯蔵・管理することとしている。同社は,本年4月にフランスのSGN社と再処理工場の主工程施設の中核技術を導入するための技術移転契約を締結する等,再処理工場の建設に向けて計画が着実に進められている。また,その建設・運転等に当たってこれまで動力炉・核燃料開発事業団に積み重ねられた技術蓄積を生かすため,同社との間に昭和57年6月に締結された技術協力基本協定に基づき,同事業団により,同社の再処理工場の基本設計に関するコンサルティング等が進められている。
 さらに将来のプルトニウム需要の動向を踏まえて,2010年ごろに運転を開始することを目途としている民間第二再処理工場の計画については,自主的な技術により経済性のより優れたものとして建設すべく,長期的視点に立って研究開発の推進を進めることとしている。


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