第1章 原子力発電の定着と今後の展開 ―基軸エネルギーとしての確立
4.核燃料サイクルの確立

〔核燃料サイクル確立の意義〕
 核燃料サイクルは,ウラン資源の入手,ウラン濃縮,燃料加工,使用済燃料の再処理及び放射性廃棄物の処理処分等から構成されている。
 再処理によって得られる回収ウランとプルトニウムは軽水炉,新型転換炉及び高速増殖炉において活用される。
 核燃料サイクルの確立によって,プルトニウム及び回収ウランの利用によるウラン資源の有効利用が可能となるとともに,ほとんど海外に依存しているウラン濃縮,再処理等を国内で実施できるので原子力発電の自主性の一層の向上を図ることができる。したがって,核燃料サイクルの確立は,原子力発電を準国産エネルギーとするために極めて重要な課題である。
 〔核燃料サイクル事業化の進展〕
 我が国の核燃料サイクルの研究開発については,動力炉・核燃料開発事業団を中心に進められてきた。その事業化については,まず,燃料加工が民間事業化され,最近に至って,ウラン濃縮,使用済燃料再処理及び低レベル放射性廃棄物処分が事業化の段階を迎えている。
 今後,核燃料サイクル分野における民間事業化を進め,自立した産業として確立するためには,技術的基盤の強化,国際的水準と比肩し得る経済性の達成,経営基盤の安定等が必要であり,官民協調の下に技術の移転,開発及び改良を進めることとしている。


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