第1章 原子力発電の定着と今後の展開 ―基軸エネルギーとしての確立

 原子力発電は総発電電力量で石油火力を上回り,また,昭和60年度以降は設備利用率も75%を超え,優れた稼動実績を示す等主力電源としての役割を果たすまでに至っている。しかし,チェルノブイル原子力発電所の事故を契機として安全確保の重要性に対する認識が高まっていること及び原油価格の低下,円高等によって化石燃料による発電との間での経済性の差が狭まっていることに対処していくことが必要となっている。

 このため,原子力を我が国のエネルギー供給安定の基軸となるエネルギーとして確立していくためには,今後とも長期にわたり原子力発電の主流を占めると予測される軽水炉について,引き続き,安全性・信頼性・経済性を更に向上させるための方策に取り組むことが重要となっている。
 また,ウラン資源の有効利用を図っていくため,使用済燃料からプルトニウムの回収及び利用の実用化を目指す必要がある。このため,プルトニウム利用の基本となる核燃料サイクルの確立及び高速増殖炉の研究開発に,引き続き取り組むことが求められている。


目次へ          第1章 第1節(1)へ