昭和62年版
原 子 力 白 書 昭和62年12月
原子力委員会
昭和62年原子力年報の公表に当たって 我が国の原子力発電は,昭和61年度には総発電電力量の約28%を賄い,安定した稼働実績と相まって,主力電源としての役割を果しています。
現在,世界のエネルギー需給は緩和基調で推移していますが,中長期的には再びひっ迫することが予想されており,我が国のエネルギー供給のぜい弱性を克服するために,今後とも原子力は重要な役割を果たしていく必要があります。また広範な科学技術の水準向上のための牽引力としても,原子力に対する期待は高まっています。
この期待に応え,今後とも原子力の開発利用を積極的に進めていくため
① エネルギー供給のぜい弱性の克服に貢献する基軸エネルギーとして,安全性,信頼性,経済性等の質の向上を重視しつつ着実に原子力発電の開発を推進すること
② 原子力分野で創造的な科学技術の育成を図ること
③ 我が国が世界各国の原子力開発利用の牽引車として積極的に国際社会に貢献していくこと
等具体的施策を今後一層展開していかなければなりません。
このため,原子力委員会は,本年6月,今後2000年までの原子力の研究・開発・利用に関する指針の大綱とその推進方策を明らかにする新しい原子力開発利用長期計画を策定しました。
本年の年報は,新長期計画策定の背景となるこの一年における我が国の原子力開発利用の現状を記述するとともに,新長期計画の内容を紹介し,その取りまとめに当たっての原子力委員会の基本的考え方を明らかにしております。
本年報が広く国民各位の原子力利用に対する理解を深めるために役立てば幸いです。
昭和62年12月1日
国務大臣 科学技術庁長官 伊藤 宗一郎 原子力委員会委員長
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