第7章 基礎研究等
3.放射線医学総合研究所における基礎研究

 放射線医学総合研究所における基礎研究は,生物医学部門,臨床医学部門及び環境科学部門に分けられる。
 生物医学部門においては,最終的には人の放射線障害の防止に資するため,急性障害及び晩発障害についての医学・生物学的研究を推進している。施設としては,晩発障害実験棟を始めとする動物実験施設を有しており,昭和60年6月には内部被ぼく実験棟が完成し,同年10月より放射性同位元素を用いた実験を開始している。
 臨床医学部門においては,放射線の医学利用及び放射線障害の診断治療に寄与することを目的として,サイクロトロンを利用したがん治療研究等を進めている。また,従来の放射線より治療効果の高い重粒子線によるがん治療の実現を図るために重粒子線等の医学利用に関する調査研究を実施している。
 さらに,環境部門については,環境中に放出された放射性物質の被ばく線量評価の体系化を行うとともに,原子力施設等の周辺住民に関して,集団線量を求め,さらに環境放射線による国民線量を算定しリスク評価を求める調査研究を行っている。


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