第3章 安全の確保,安全の実証及び環境保全
5.環境放射能調査

(2)原子力施設周辺の放射能調査

 原子力発電所等の原子力施設周辺における環境モニタリングについては,周辺公衆の受ける線量が線量限度を十分下回っていることを確認すること,環境における放射性物質の蓄積傾向を把握すること等を目的として,原子力施設設置者,地方公共団体及び国がそれぞれの役割に応じて行っている。
 環境放射線のモニタリング実施体制は図のとおりである。
 さらに,原子力施設が周辺環境に対して与える影響の把握,その影響の軽減方法等に関する研究が,国立試験研究機関,都道府県衛生試験所等で行われている。
 また,従来の環境放射能モニタリングは,主に陸上居住者が念頭に置かれていたが,これに対し,水産業界は,原子力開発利用と漁業との調和を図る観点から,水産サイドに立った海洋環境放射能の評価監視制度の設立を強く要望していた。このため,昭和59年1月より,科学技術庁は電源開発促進対策特別会計による事業として,原子力施設周辺の漁場を中心に海洋環境放射能を調査・分析し,放射能水準を総合的に評価把握する海洋環境放射能総合評価事業を開始した。


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