第3章 安全の確保,安全の実証及び環境保全
3.原子力の安全研究

(1)原子力施設等の安全研究

 原子力施設等の安全研究には,軽水炉,新型動力炉,核燃料施設等の安全研究がある。
 これらの原子力施設等の安全研究は,軽水炉施設の高度化,核燃料サイクル事業の本格化,高速増殖炉等の新型動力炉の開発の進展等原子力開発利用の多様化に対応し,また,最新の科学技術的知見,原子力施設の運転経験の蓄積等を踏まえ,長期的視点に立って,計画的かつ総合的に推進する必要がある。
 このような観点に立って,原子力安全委員会原子力施設等安全研究専門部会は昭和60年10月,新しい原子力施設等安全研究年次計画(昭和61年度〜65年度)を取りまとめた。同計画では,水炉(軽水炉及び重水炉)の安全性,高速増殖炉の安全性,再処理施設等核燃料施設の安全性,放射性物質輸送の安全性,原子力施設の耐震安全性及び原子力施設等の確立論的安全評価等の6分野にわたり,今後推進すべき安全研究課題等を定めている。現在は,上記計画に沿って,日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団を中心として,国立試験研究機関等において研究が実施されている。
 さらに,軽水炉の工学的安全研究については,国際協力を積極的に進めており,我が国が中心となりROSA-IV計画等を推進する一方,OECD/ハルデン計画,OECD/LOFT計画等に参加している。また, TMI2号機の炉心損傷状況の把握・分析,除染技術等の開発を目的とする研究開発協力に,我が国からは,日本原子力研究所,(財)原子力工学試験センター,電力会社及びメーカーが参加し,現在,研究者が渡米し研究計画に参画している。


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