第1章 原子力発電
5.原子炉の廃止措置

(ソ連)

 ソ連では,昭和60年において新たに4基,昭和61年において2基,計約600万キロワットが運転を開始したことにより,原子力発電設備容量は44基,約2,826万キロワットとなっており,米国,フランスに次いで第3位の原子力発電国となっている。また,国際原子力機関(IAEA)の数値によると,昭和60年の1年間に原子力は約1,520億キロワット時を発電し,これは総発電電力量の10.3%に当たる。
 ソ連の原子力開発は,5年おきに策定される経済計画の燃料・エネルギー生産部門の中で策定されるが,昭和61年2月に示された第12次5ケ年計画(1986年〜1990年)の中で原子力発電開発については,1990年までに原子力発電規模を7,000万キロワットとし,総発電電力量に占める原子力の割合を20〜21%にまで引き上げる計画となっている。
 昭和61年4月26日,チェルノブイル原子力発電所で発生した事故では,大量の放射性物質が大気中に放出され,死者31名(昭和61年8月21日現在)と,多くの放射線被ばくによる負傷者が出るなど世界各国にもいろいろな形で大きな衝撃を与えた。ソ連当局はただちに事故調査のための政府委員会を設置して,事故原因の究明とその後の対策につとめている。
 しかしながら,ソ連の原子力開発方針に対する同事故の影響はみられておらず,事故後開催されたソ連邦最高会議においても,チェルノブイル原子力発電所事故の教訓を生かした上で第12次5ケ年計画を変更なく実施していくことが再確認されている。


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