第1章 原子力発電
3.原子力発電所の立地関連状況

(1)原子力発電所の立地をとりまく状況

 近年の原子力発電所の立地の進展状況をみると,全体的に,電源開発計画への組み入れは,電力施設計画の予定に比べて遅れぎみであり,また,電源開発基本計画に組み込まれた後も着工が予定に比べて遅れぎみである。
 なお,昭和48年以来,軽水型原子炉の設置許可処分に関し,5件の行政訴訟が係争中であり,6件の設置許可処分に対して合計15件の異議申立てが行われている。(昭和61年8月現在)
 このうち,福島第二原子力発電所原子炉設置許可処分取消請求事件訴訟については,昭和59年7月に福島地方裁判所において第一審判決が言い渡され,判決は原告の請求を棄却,伊方発電所1号原子炉設置許可処分取消請求控訴事件訴訟については,同年12月高松高等裁判所において控訴審判決が言い渡され,判決は控訴人らの控訴を棄却,また,東海第二発電所原子炉設置許可処分取消請求事件訴訟については,昭和60年6月水戸地方裁判所において第一審判決が言い渡され,判決は原告らの請求を棄却している。これらの判決理由としては,いずれも設置許可処分における判断には合理的根拠があり,手続的な違法性もない等を挙げ,昭和53年4月の伊方発電所原子炉設置許可処分取消請求事件訴訟に係る第一審判決と同じく,原子力発電の安全性に関する国の主張を認めるものとなっている。
 なお,昭和60年9月,動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖原型炉「もんじゅ」に関し,原子炉設置許可処分の無効確認請求訴訟(行政訴訟)及び原子炉建設・運転の差止め請求訴訟(民事訴訟)が福井地方裁判所に提起された。さらに,昭和61年5月20日には,同年3月25日の原子炉設置変更許可処分に対する異議申立てが提起された。


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