第9章 核不拡散
4.核物質防護

(2)我が国における核物質防護

 原子力委員会核物質防護専門部会は,我が国の国情に即した核物質防護のあり方について調査検討を行い,その結果は昭和57年6月に原子力委員会が決定した原子力開発利用長期計画に盛り込まれた。
 その中において,
イ) 緊急時における,事業者等,治安当局及び規制当局による有機的な協力体制の整備
ロ) 核物質防護に係る法令整備等及び核物質防護条約の批准に備えた諸般の整備
ハ) 所要の研究開発の推進が,長期的指針として提示された。我が国においては,上記の長期計画及び核物質防護専門部会報告書に沿った形で,関係行政機関において所要の施策が講じられてきているところであり,科学技術庁においても,原子炉等規制法のもとで,核燃料物質の輸送,原子力施設の新設又は重大な変更の都度に届出を受け,適宜指導を行っている。昭和59年の届出件数は,核物質の輸送に伴う届出 41件,原子力施設の新設及び重大な変更に伴う届出9件であった。
 核物質防護の目的を実現するためには,国が行う規制の基礎となる法令整備を進める一方,規制に必要な基準,指針,評価手法等についての研究開発,施設等の核物質防護システム及びその構成機器等の研究開発の推進が必要であり,後者については日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団において,関連研究開発が実施されているところである。
 昭和60年度の我が国における核物質防護研究開発項目は表のとおりである。


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