第9章 核不拡散
3.保障措置

(2)保障措置の実施状況

 保障措置は主に核物質の計量管理,封じ込め・監視及び査察から成り立っている。その仕組みを図に示す。
 これに基づき昭和59年度に実施された保障措置活動は下記のとおりである。

イ) 計量管理報告及び情報処理
 原子力施設設置者は,原子炉等規制法に基づき,国に在庫変動報告,物質収支報告及び実在庫量明細表を提出することが義務づけられている。昭和59年度の報告件数及びそれらに含まれるデータの処理件数は,表のとおりである。

 また,我が国における昭和59年の核物質の流れは次の図のとおりである。

 一方,指定情報処理機関である(財)核物質管理センターの情報処理システムに対し,情報量の増加に対処するため,データベース管理システムの整備を行った。

ロ) 査察
 我が国の原子力施設に対しては,政府による国内査察を基本とし,さらにIAEAによる国際査察が実施されている。昭和60年3月末現在における保障措置対象施設及び昭和59年における国内査察実績は表のとおりである。なお,昭和59年に我が国及びIAEAが我が国の原子力施設に対して実施した保障措置の結果,核物質の転用の可能性は皆無であったとの結論が得られている。

ハ) 保障措置分析
 昭和59年度においては,(財)核物質管理センター保障措置分析所においてウラン関係試料381個,プルトニウム関係試料152個の分析を行った。
 また,査察時にも非破壊測定を行った。これに加えて,合理化のため,プルトニウムの自動分析装置を用いた測定手法の検討を行った。


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