第6章 放射線利用
2.農林水産業への利用

(1)食品照射

 食品照射は,放射線を利用して殺虫,殺菌,発芽防止等を行い,食品の保存期間を延長するものであり,食品流通の安定化及び食生活の改善に大きく寄与するものと期待されている。我が国における食品照射の研究開発は,昭和42年に原子力委員会が策定した「食品照射研究開発基本計画」に基づき,関係国立試験研究機関,日本原子力研究所等において進められてきた。この結果,馬鈴薯については,昭和47年に発芽防止を目的とした照射が許可され,北海道士幌町農業協同組合において実用照射が実施されている。玉ねぎ,米,小麦については,現在,実用化について検討中である。また,その他の品目(ウインナーソーセージ,水産ねり製品,みかん)については,基本計画に従って各実施機関が研究開発を行い,現在,研究成果のとりまとめを行っているところである。
 なお,米国食品医薬品庁(FDA)では,現在,生鮮果実,生鮮野菜等を対象とした100キロラドまでの放射線照射を承認すべく,手続きを進めている。


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