第2章 核燃料サイクル
4.使用済燃料の再処理

(1)東海再処理工場

 東海再処理工場は我が国初の再処理工場であり,動力炉・核燃料開発事業団により東海村に建設されたものである。同工場は昭和56年1月から本格運転に入り,試験運転期間を含め昭和52年9月から昭和60年8月までに累計約223トンの使用済燃料を処理している。
 同工場は,昭和57年4月には,2基ある溶解槽のうち1基に,さらに昭和58年2月には,残りの溶解槽及び酸回収蒸発缶にそれぞれピンホールが発生したため,操業を停止した。その後,ピンホールが発生した溶解槽2基に対する補修作業,国産の酸回収蒸発缶及び新型溶解槽の製作・据付等所要の整備を経て,昭和60年4月本格操業を再開している。
 同工場は,フランスのサンゴバン社の設計によるものであるが,環境への放出放射能量を極力抑えるという我が国の方針に従って,中・低レベル廃液処理用蒸発缶での凝縮液を再度蒸発処理することによって放出量を低減させる施設(E施設,昭和50年7月完成)及び発生源において極低レベルとして区分していた廃液を蒸発処理する施設(Z施設,昭和54年1月完成)を我が国が独自に設計し,建設した。さらに,これらに加え,せん断,溶解オフガス中のクリプトンを液化して回収する技術開発施設(昭和58年9月完成)及び抽出工程から発生する廃溶媒のより効果的な処理を行うことを目的とする廃溶媒処理技術開発施設(昭和59年4月完成)を建設し,放出放射能の低減化に努めてきている。
 また,使用済燃料を再処理して得られた回収ウランについては,新型転換炉原型炉「ふげん」用のMOX燃料に一部利用されており,昭和59年5月,回収ウラン約260kg(MOX燃料65kgを4体)を装荷したところである。


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