第1章 原子力発電
3.原子力発電所の立地関連状況

(3)原子力発電所等の立地促進

 原子力発電所等の立地地点の確保は,原子力発電を推進する上で重要な課題である。原子力発電のエネルギー供給上の重要性に鑑み,原子力発電所の立地には最大限の努力を傾注する必要があり,地域の実情を踏まえつつ,電気事業者及び関係行政機関において積極的な取組みが行われている。

イ)広報活動等の実施
 原子力に対する国民の理解を求め,その開発利用を一層円滑に推進するため,テレビ・出版物等の活用,講演会・各種セミナーの開催等により広報活動を積極的に行っている。
 原子力発電所等の立地を円滑に進めるために,立地予定地域のオピニオンリーダーを対象とした原子力講座等を開催するとともに,原子力発電所等の立地の初期段階における地元住民の理解と協力を得るため,国自らが広報活動を展開する等の施策を講じている。さらに,地方自治体の行う広報活動等への助成を行っている。
 また,電源立地調整官等の機動的活動により,原子力発電所の立地に係る地元調整を推進するとともに,原子力発電所等の設置された県については原子力連絡調整官による地元と国との連絡調整を図っている。

ロ)電源三法の活用
 発電用施設周辺地域整備法等のいわゆる電源三法を活用し,引き続き,原子力発電施設等の周辺住民の福祉の向上に必要な公共用施設の整備を進めるとともに,施設周辺の環境放射能の監視,温排水の影響調査,防災対策,原子力発電施設等の安全性実証試験等を促進し,原子力発電施設等の立地の円滑化を図っている。
 特に,昭和60年度には,新たに,次のような施策を実施した。
(i)「電源立地促進対策交付金」について,道路交通の安全に関する施設を追加し,使途の充実を図るとともに,交付の対象となる原子力発電施設等として,新型転換炉用燃料加工施設及びウラン濃縮原型プラントを追加する。
(ii)「放射線監視交付金」の放射線監視事業に係る交付期間を延長する。
(iii)「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」の防災講習会開催等事業,防災活動資機材整備事業に係る交付金の交付限度額の増額を行う。


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