第3章 進む研究開発
(2)新型動力炉開発

ハ)動力炉・核燃料開発事業団の発足

 日本原子力研究所は上記原子力委員会の決定を受けて,国産動力炉開発室及び所外の専門家も加え,国産動力炉計画委員会を設置し,産業界の協力も得て,具体的な調査検討を開始した。
 その後,昭和39年夏の第3回原子力平和利用国際会議において高速増殖炉の実用化にかなりの時間を要することから,その開発と並行して補完する炉の開発を進める等,総合的に開発を進めていることが明らかになり,また我が国においてもエネルギー需給の観点から原子力発電の果たすべき役割が示されたこと及び第2回長期計画より約4年を経過したことから,在来炉から高速増殖炉に至る各種動力炉の開発のあり方及び推進体制を再検討する必要が生じた。このため,原子力委員会は昭和39年10月動力炉開発懇談会を開催することを決定した。
 上記懇談会においては,昭和40年,動力炉開発の進め方について中間取りまとめを行った後,高速増殖炉と新型転換炉に関するワーキング・グループを設置し,検討を進めた。両ワーキンググループは昭和41年,報告を取りまとめたが,いずれも関係機関の有機的連携を重視し,全体計画を総合する中枢組織ないしリーダーとなり,みずからの責任と自主性をもってプロジェクトを弾力的に進める実施機関を定める必要性を指摘している。
 原子力委員会は同年,それまでの検討を踏まえて,昭和42年度を目途に特殊法人を新設する等を内容とする,「動力炉開発の基本方針について」を決定し,また,それまでの開発準備のための動力炉開発臨時推進本部を日本原子力研究所に設置することを明らかにした。こうして,国家資金を根幹とし,民間の積極的な協力を得るほか,民間技術者の参加協力を可能とする一方,新型炉開発の一元的な責任を負う特殊法人の新設が必要とされた。しかしながら,「事業団の新設は,既存の特殊法人の改組によるものでなければ認めない」という政府の方針もあり,原子燃料公社を発展的に改組し,昭和42年10月,動力炉・核燃料開発事業団として発足させることとなった。


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