第2章 我が国経済社会に根づく原子力
(3)原子力産業の発展

ロ)第I期(昭和31年〜昭和40年:原子力市場の形成期)

 この時期,原子炉機材は主に研究炉用であったが,これは,我が国の研究炉,臨界実験装置の大部分が昭和30年代に建設されたためで,この需要が第I期の原子力市場の中心をなしていたと言える。
 また,この時期のもう一つの特長は,ラジオアイソトープ・放射線機器の原子力市場での割合が相対的に高かった(現在の約5%の割合に対し,この時期は約25%)ことで,これは原子力開発当初から,この分野での商業化が進んでいたことを示している。
 しかしながら,昭和30年代は,研究炉及び日本原子力発電(株)東海1号炉の建設が行われてはいたが,市場規模は小さく,各企業は研究開発,設備投資の負担に耐えなければならず,その経営は必ずしも容易ではなかった。


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