第2章 我が国経済社会に根づく原子力
(1)原子力発電

ホ)原子力発電の定着

 前記の原子力発電の試練への対応と並行して,電気事業者,機器メーカー等において,作業管理の徹底等による定期検査期間の短縮,品質管理の徹底による信頼性向上,燃料設計の変更による運転期間の長期化等の努力が払われた。この結果,原子力発電所の稼働率は昭和50年代後半から着実に上昇し,昭和59年度73.9%と定期検査期間を考慮すれば,ほぼフル稼働に近い状態にまでなってきた。
 さらに,原子力発電の総発電設備容量も昭和59年度末で2,056万1千キロワットと全体の13.9%,総発電電力量は昭和59年度1,332億キロワット時と全体の22.9%を占めている。さらに今後の原子力発電設備容量については,昭和65年度3,400万キロワット,昭和70年度4,800万キロワットとその伸びが期待されており,日本経済の根幹を支える電力供給において,将来も含め,原子力発電は欠くことのできないものとなっている。
 また,将来的な課題への対応として原子炉の廃止措置については,昭和57年3月の原子力委員会の廃炉対策専門部会の報告を踏まえ,昭和60年7月に総合エネルギー調査会原子力部会において廃止措置の標準工程,費用の試算等が示されるとともに,昭和56年度からは日本原子力研究所のJPDRを対象として約10年計画で廃止措置にかかわる技術開発・実地試験が進められている。


目次へ          第2章 第2節 イ)へ