第1章 平和利用と国際関係

(8)INFCE終了後の動向

 INFCE終了後,その結果を踏まえて,国際プルトニウム貯蔵(IPS),国際使用済燃料管理(ISFM),供給保証委員会(CAS ),等についてIAEAを中心に検討が進められてきている。
 二国間協議については,INFCE終了後の昭和55年9月に新日加原子力協定,昭和57年8月に新日豪原子力協定が発効した。これら新協定は,高濃縮,機微技術に関する規制等が追加され核物質防護が必要とされるなど規制強化が図られる一方,日豪間では同時に,また日加間では昭和58年4月に再処理及び関連する第3国移転に関し,所要の条件が満足されれば,個別の同意なく実施できるという包括同意方式が採用された点で注目される。
 一方,日米間においては,昭和56年5月の日米共同声明(鈴木首相 レーガン大統領)で,東海再処理工場の運転継続,第2再処理工場の建設等の懸案事項の早急かつ恒久的な解決を図るために協議を開始すべきことに日米首脳間で意見の一致をみたことが明らかにされた。
 米国は同年7月,進んだ原子力計画を有し,かつ核不拡散の危険がない諸国における再処理とFBR開発を妨げない等を骨子とする政策変更をレーガン大統領声明の形で発表した。こうした動きを背景に,日米再処理問題につき恒久的な解決を図ることを目標として昭和56年10月には①日米両国は,東海再処理工場の運転継続及び新たな再処理施設の建設等の懸案事項の早急かつ恒久的な解決を図るための長期的取り決めを昭和59年12月末までに作成する,②それまでの間東海再処理施設はその能力(210トン/年)の範囲内で米国産使用済燃料の再処理を行うことができる,を内容とする共同決定及び共同声明を行った。
 その後,昭和57年6月当時の中川科学技術庁長官が訪米した際,日米双方は再処理問題について包括同意方式による解決を早期に図るため,話し合いに入ることにつき意見の一致をみた。
 これに基づき今日まで事務レベル協議が行われているが,米国はこの協議において長期的取り決めの前提として昭和53年核不拡散法に基づく措置を取る必要があるとしている。


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