各論
第11章 原子力産業

2 核燃料サイクル関連事業

(1)核燃料再転換・成型加工事業
 核燃料再転換・成型加工事業は,我が国の核燃料サイクル事業中,最も事業化の進んだ分野であり,ほぼ国産化が達成され,極めて高品質な製品を製造している。
 現在,我が国で核燃料再転換・成型加工を行っている会社は,三菱原子燃料(株),日本ニユクリア・フユエル(株),原子燃料工業(株)及び日本核燃料コンバージョン(株)の4社である。
 なお,ジルカロイ被覆管については,(株)神戸製鋼所,住友金属工業(株),三菱金属(株)によって,ほぼ国産化が達成されており,現在,ジルコニウム鉱石から被覆管等の製品に至る一貫した国産化体制の確立が図られている。

(2)その他の核燃料サイクル関連事業
 核燃料再転換・成型加工事業以外の核燃料サイクル関連の分野については,その事業化への体制の整備が進められているところである。
 ウラン濃縮については,電力業界は,商業用ウラン濃縮施設の建設に向けて立地協力要請等を行うとともに,建設・運転を行う新会社の設立準備を進める等ウラン濃縮事業化に向けて推進が図られている。

 これまで,遠心分離機製造メーカーは,動力炉・核燃料開発事業団の研究開発を通じて遠心分離機製造技術・製造能力を高めてきており,現在,遠心分離機の量産体制を確立するため,遠心分離機製造会社設立に向けて準備を進めている。また,ウラン濃縮事業化に合わせて必要となる転換についても,民間において事業化の検討が進められている。
 再処理については,商業用再処理施設の建設・運転を行う日本原燃サービス(株)が設立されており,現在,商業用再処理施設建設に向けて,立地協力要請を行う等準備を進めている。
 さらに,使用済燃料等の核燃料物質の輸送については,原子力発電の開発の進展に応じ,今後とも益々拡大することが予想される。このような輸送の本格化に対応して,既に民間の輸送サービス機関が輸送事業を行っているほか,軽水炉使用済燃料用輸送容器の国産化も進められる等,輸送事業は発展しつつある。


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