各論
第7章 放射線利用

4 医療への利用

 医療においては,診断及び治療の両面で放射線が広く利用されており,目ざましい進展をみせている。
 診断については,放射性同位元素(テクネチウム99,ヨウ素131等)をトレーサーとして用いる方法,エックス線診断等がある。放射性同位元素のトレーサー利用は短寿命核種の開発利用,放射線計測技術等の進展により,近年,急激に発展している。また,エックス線診断は,臨床のすべての領域にわたって広く利用されており,最も重要な検査法の一つとなっている。特に,エックス線装置とコンピュータを結びつけたエックス線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)は広く利用されており,医療に大きく役立っている。
 放射線治療については,悪性腫瘍が主な治療対象となっており,現在,電子線,エックス線及びガンマ線による治療が実用化されている。放射線治療に用いられている線源及び発生装置は,ラジウム226等の密封小線源,コバルト60及びセシウム137を用いた遠隔照射治療装置,直線加速器(リニアック),ベータトロン,サイクロトロン等の加速器である。


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