各論
第5章 新型動力炉の開発及びプルトニウム利用

3 プルトニウム燃料加工と高速炉燃料の再処理

 新型転換炉の開発,軽水炉でのプルトニウム利用,さらには高速増殖炉の開発の進展に応じて,プルトニウム燃料の加工体制を整備していく必要がある。
 また,高速増殖炉の使用済燃料については,プルトニウム含有量が多く,熱中性子炉の場合よりも燃焼度が高くなることから,基本的には従来の軽水炉燃料の再処理技術をベースとしつつも,高速増殖炉使用済燃料に対応した再処理技術を確立する必要がある。

(1)プルトニウム燃料加工
 プルトニウム―ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工の研究開発は,動力炉・核燃料開発事業団を中心に実施されてきており,新型炉燃料としての加工実績も70トンを超え,我が国は世界的にみてトップレベルにある。
 現在の製造設備の能力は,新型転換炉「ふげん」用10トンMOX/年,高速実験炉「常陽」用1トンMOX/年であり,また,高速増殖炉原型炉「もんじゅ」用5トンMOX/年の設備の建設を進めているところであり,新型転換炉実証炉用燃料製造施設(40トンMOX/年)についても建設準備が進められている。また,軽水炉における照射試験用MOX燃料に関しては,加圧水型炉用としては,既に,米国において燃料加工が終了しており,沸騰水型炉用については,動力炉・核燃料開発事業団で加工を実施する方向で検討している。
 一方,これらのMOX燃料の原料となるMOX粉末は,従来,外国からプルトニウムを購入していたが,最近は,動力炉・核燃料開発事業団が独自に開発した「マイクロ波直接脱硝法」によって,東海再処理工場から得られた硝酸プルトニウム溶液を転換することが可能となり,すでに本技術の実用化を図る硝酸プルトニウム転換施設が完成し,昭和58年4月から試験運転に入っている。ここで得られた国産プルトニウムは「ふげん」の燃料として使用している。

(2)高速炉燃料再処理技術開発
 我が国における高速炉燃料の再処理技術開発は,動力炉・核燃料開発事業団において実施されてきている。現在,主にウランまたは放射性同位元素を用いた再処理工程・機器の実規模モックアップによる開発試験が進められている。また,高レベル放射性物質研究施設(CPF)において,高速実験炉「常陽」の照射済燃料を用いた実験室規模の再処理の試験が行われており,ここで回収されたプルトニウムが,昭和59年9月,「常陽」で初めてリサイクル利用された。
 また,原子力委員会においては,今後の我が国の高速炉燃料再処理技術に関する開発の進め方について検討を行っており,高速増殖炉開発懇談会高速炉燃料再処理小委員会は,昭和59年2月,高速増殖炉燃料再処理については,国際協力の活用を図りつつ自主技術による開発を進めることとし,当面の再処理試験施設については,再処理能力120kg/日の規模で,昭和70年頃の運転開始を目途とすることが最適であるとの結論を出した。
 現在,動力炉・核燃料開発事業団によりこの試験施設の概念設計が進められている。


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