第1章 原子力開発利用の動向
3 主要研究開発の進展状況

(1)高速増殖炉

 高速増殖炉は,その本格的利用によりウラン資源量に制約されることなく,長期にわたり安定的な電力供給を行っていくことを可能とするものであり,将来の原子力発電の主流となる炉型と考えられ,我が国においては,その開発は,これまで動力炉・核燃料開発事業団を中心に進められてきている。
 実験炉「常陽」の建設・運転により技術経験の蓄積がなされてきており,その蓄積を踏まえ,現在,原型炉「もんじゅ」(電気出力28万キロワット)について,昭和65年度臨界を目指して建設準備工事が進められている。また,関連する研究開発については,動力炉・核燃料開発事業団において,機器製作,安全性等に係る研究開発が行われており,また,民間においては,(財)電力中央研究所を中心に,耐震特性をはじめとする大型炉の概念確立に必要な研究が行われている。これらの成果は「もんじゅ」の次段階の炉である実証炉にも反映されることとなる。
 この実証炉の開発については,原子力委員会は,既に,高速増殖炉開発懇談会を設け,研究開発及び設計の進め方,国際協力のあり方等今後の実証炉開発の進め方について,調査審議を行っている。また,実証炉の建設推進に当たっては,国と民間,特に,これまでの開発主体であった動力炉・核燃料開発事業団と実証炉開発の主体となる電気事業者との密接な協力が重要であることに対応し,昭和58年12月には,動力炉・核燃料開発事業団と電気事業連合会との間で,連絡・調整の場として高速増殖炉連絡協議会が発足しており,随時協議が行われている。
 一方,国際協力については,自主開発を補完し,全体として整合性をとりつつ,より積極的に進めることとされており,従来から動力炉・核燃料開発事業団が中心となって進めてきている。最近,電気事業連合会あるいはメーカーにおいても国際協力の動きが活発化しており,今後とも,官民の緊密な連携のもと,積極的に推進することが重要である。


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