第11章 国際協力活動
1 先進国との国際協力

(2)多国間協力

 イ)従来からの多国間協力
 安全研究に関して,日本原子力研究所は,西独研究技術省及び米国原子力規制委員会(NRC)との間で,大型再冠水協力取決めを締結しており,冷却材喪失事故(LOCA)時の再冠水中の緊急炉心冷却装置の挙動に関する研究協力を行っている。

 また,高速増殖炉に関して,動力炉・核燃料開発事業団は,カールスルーエ研究所,インターアトム社(西独)及びフランス原子力庁との間で,三国間の高速増殖炉開発に関する協力を,また,フランス原子力庁カダラッシュ研究所のCABRI炉を使用して行われている「日独仏共同カブリ計画」に参加し,各種の情報交換,専門家会合等を行っている。
 ロ)サミット・フォローアップに関する協力
(i)軽水炉安全研究
 ヴェルサイユサミット・フォローアップとしての軽水炉安全研究プロジェクトは,協力の分野として①熱水力的挙動と②燃料挙動の2分野が選定されており,協力の方法としては,共同研究とその成果を国際的に普及させるためのワークショップの開催が決定されている。
 我が国は,本プロジェクトのリード国として,その推進の責任を有しており,共同リーダーである欧州共同体(EC)と連絡を取りつつ,プロジェクトの円滑な推進を図っていくこととなっている。
 研究協力の内容としては,熱水力的挙動の分野においては,日本のROSA―IV計画が取りあげられている。ROSA―IV計画に関する協力の態様としては,日本原子力研究所を実施主体として各国と二国間で共同研究実施取決めを結ぶこととしている。
(ii)高速増殖炉
 高速増殖炉については,国際協力の拡大にむけて話し合いを精力的に行う旨の方針が示された。
 なお,本プロジェクトのリード国のひとつである米国は,昭和58年5月,国際協力に当たっての一般原則や課題について検討するためのタスクフォースの設立について提案し,各国に検討を呼びかけている。
(iii)核融合
 核融合の研究分野における国際協力について,サミットにおいては①既存あるいは建設中の大型装置(TFTR,JET,JT―60等)へのパートナーの参加,②特にトカマク代替路線のための開発計画の分担,③大型装置の共同開発及び利用実験炉及びその他の次世代装置に関する開発計画の調整等を基本方針として進めていくことが合意され,現在,具体的な協力方法について検討しているところである。


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