第10章 核拡散防止
3 保障措置

(2)保障措置の実施状況

 保障措置は主に核物質の計量管理,封じ込め監視及び査察から成り立っている。保障措置の仕組みを図に示す。
 これに基づき57年度に実施された保障措置活動は下記のとおりである。

 イ)計量管理報告及び情報処理
 原子力施設設置者は,原子炉等規制法に基づき,国に在庫変動報告,物質収支報告及び実在庫量明細表を提出することが義務づけられている。昭和57年の報告件数及びそれらに含まれるデータの処理件数は,次表のとおりである。

 なお,計量管理報告に基づきとりまとめた我が国の昭和57年12月末の核燃料物質保有量を表に示す。
 また,我が国における昭和57年の核物質の流れは図のとおりである。
 一方,指定情報処理機関である(財)核物質管理センターの情報処理システムに対し,新日豪協定の発効(昭和57年8月)に伴う新しい国籍管理及び核物質の移動に関する情報処理の充実を図った。
 ロ)査察
 我が国の原子力施設に対しては,政府による国内査察を基本とし,さらにIAEAによる国際査察が実施されている。昭和57年の保障措置対象施設及び国内査察実績は表のとおりである。なお,昭和57年に我が国及びIAEAが我が国の原子力施設に対して実施した保障措置の結果,核物質の転用の可能性は皆無であったとの結論が得られた。
 ハ)保障措置分析
 昭和57年度においては,(財)核物質管理センター保障措置分析所においてウラン関係試料約400個,プルトニウム関係試料約160個の分析を行った。また,査察時にも非破壊測定を行った。これに加えて,合理化のため同年度においては,プルトニウムとウランの分離を自動的に行うためのイオン交換分離装置の開発を行った。


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