第9章 原子力産業
2 核燃料サイクル関連事業

(1)核燃料加工事業
 核燃料加工事業は,我が国の核燃料サイクル事業中,最も事業化の進んだ分野であり,ほぼ国産化が達成され,極めて高品質な製品を製造している。
 現在,我が国で核燃料加工を行っている会社は,三菱原子燃料(株),日本ニュクリア・フュエル(株),原子燃料工業(株)及び日本核燃料コンバージョン(株)の4社である。
 なお,ジルカロイ被覆管については,(株)神戸製鋼所,住友金属工業(株),三菱金属(株)によって,ほぼ国産化が達成されており,現在,ジルコニウム鉱石から被覆管等の製品に至る一貫した国産化体制の確立が図られている。

(2)その他の核燃料サイクル関連事業

 核燃料加工事業以外の核燃料サイクル関連の分野については,その事業化への体制の整備が進められているところである。

 ウラン濃縮については,これまで,動力炉・核燃料開発事業団の研究開発を通じて遠心分離機製造メーカーが育成されており,メーカーの製造能力が高まってきている。遠心分離機の量産化を図るため,メーカーにおいて,動力炉・核燃料開発事業団の研究開発と連携を取りつつ,量産体制の検討を進めている。一方,電力業界は,昭和55年11月,電力業界を中心とする民間が,将来,ウラン濃縮商業プラントの建設・運転を行うとの方針を決定し,昭和56年3月,電気事業連合会にウラン濃縮準備室を設け,ウラン濃縮事業化を目指した調査検討を進めている。また,ウラン濃縮事業化に合わせて必要となる転換事業についても民間において検討が進められている。

 再処理については,昭和55年3月,電気事業者を中心とする関連100社の共同出資により,商業用再処理工場の建設・運転を行う日本原燃サービス(株)が設立され,現在,商業用再処理工場建設に向けて,立地選定等の諸準備が進められている。
 放射性廃棄物については,今後の増加に対応するために発生量低減化などについて民間独自の技術開発が活発化している。
 さらに,使用済燃料等の核料燃物質の輸送については,原子力発電の開発の進展に応じ,今後ともますます拡大することが予想される。このような輸送の本格化に対応して,既に民間の輸送サービス機関が輸送事業を行っているほか,軽水炉使用済燃料用輸送容器の国産化も進められるなど,輸送事業は発展しつつある。


目次へ          第8章 第3節へ