第9章 原子力産業
1 原子力発電関連機器産業

 原子力発電関連機器産業は,原子炉関連設備,原子力用発電機器等を供給する産業であり,現在,我が国においては主に5グループに分かれている。これらの各原子力産業グループは,それぞれ,その幹事会社が中心となり,軽水炉に関し海外の大手原子力機器供給企業(GE,WH等)と技術提携を行い,これに基づく技術導入により国内の原子力発電所の建設を進めてきた。
 また,これらの産業グループは,軽水炉関連のみでなく,国の研究開発プロジェクトへの参加を通して,新型転換炉,高速増殖炉などの新型炉関連の分野も手掛けている。

 最近の原子力発電プラントでは,機器の国産化率は100%近くになつており,それらの設備利用率も極めて良好である。また主契約者としての建設経験も,建設中のものも含めれば25基と海外の大手企業には及ばないものの,着実に経験を積み重ねつつある。このように我が国の原子力発電関連機器産業は,機器製造については導入技術の消化吸収を達成したといえるが,これは積極的な研究開発と設備投資によるところが大きいと考えられる。
 また,現在,日本型軽水炉の確立を目指して自主技術により,軽水炉改良標準化計画が進められており,その一環として改良型軽水炉(APWR,ABWR)の国際共同開発が行われている。
 一方,原子力発電関連機器産業の製造能力は,現在,年間600万キロワット程度と言われており,今後の我が国の原子力発電規模の拡大に十分に対応できるものと考えられる。


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