第3章 核燃料サイクル
(参考)諸外国の動向

(3)放射性廃棄物処理処分

 イ)米国
 高レベル廃液は,ガラス固化し,貯蔵した後,地層処分する計画であるが,種々の固化法について研究開発を行っている。
 低レベル放射性廃棄物は,民間の処分施設において陸地処分を行っているほか,米国エネルギー省(DOE)関係施設からのものは,主に連邦政府運営の処分施設において陸地処分を行っている。
 また,1982年放射性廃棄物政策法が成立し,米国における放射性廃棄物対策の基本枠組が示された。
 ロ)フランス
 高レベル廃液は,ガラス固化し,貯蔵した後,地層処分する計画であり,ガラス固化法としては,AVM(Atelier Vitrification de Marcoule)法*が実用段階である。
 低レベル放射性廃棄物はラ・マンシュ貯蔵センターで最終貯蔵を実施している。
 ハ)英国
 高レベル廃液は,ガラス固化し,貯蔵して後,処分する計画であり,ガラス固化法として,AVM法を採用することを決定している。
 低レベル放射性廃棄物は,原子力発電所からのものはサイト内貯蔵を行っている他,海洋処分と陸地処分を行っている。
 また,昭和57年7月Nirex**(Nuclear Industry Radioactive Waste-Executive)と呼ばれる放射性廃棄物の処理処分を実施する新たな機関を設立した。
 ニ)西独
 高レベル廃液は,ガラス固化し,貯蔵した後,岩塩層に地層処分する計画である。ガラス固化法としては,AVM法の他パメラ法***(Pilotanlage Mol zur Herstellung end lager fahiger Producte)がベルギーと共同で開発されている。
 低レベル放射性廃棄物は,昭和42年から昭和53年までAsseII(岩塩坑)で陸地処分を実施したが,現在は許可手続きの関係で中断している。


* AVM法:フランスが開発したガラス固化法で,高レベル廃液をロータリーキルンで仮焼し,ガラス粉末を加えて溶解炉で溶かした後,キャニスターに封入する方法である。
** Nirex:原子力産業放射性廃棄物執行部。
英国原子力公社(UKAEA),英国核燃料公社(BNFL)及び電気事業当局(CEGB,SSEB)により,それらの代理機関として設立され,低・中レベル廃棄物の処理処分を実施する。
***パメラ法:高レベル廃液を脱硝,濃縮し,ガラス粉未を加えて溶解炉で溶かし固化する方法で,固化の方式としては,ガラスをキャニスターに封入する方式と,ビーズ状のガラス固化体とし,金属に埋め込んでキャニスターに封入する方式があり,現在,研究開発中である。


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