第2章 原子力発電
2 原子力発電所の運転状況

(1)設備利用率

 商業用原子力発電所の運転は順調に行われ,昭和57年度の設備利用率は67.6%に達した。これによって,昭和55年度の60.8%,昭和56年度の61.7%に引き続き3年連続して60%台の設備利用率が達成されたことになる。毎年約4ヵ月にわたり定期検査を慎重に行っている現状では,最大設備利用率が70%前後であるという状況を考慮すると,昭和57年度の設備利用率67.6%は極めて良好なものであり,世界の主な軽水炉保有国の中でも極めて良好な成績を示しているといえよう。
 このように,近年,設備利用率が着実に向上してきている要因としては,我が国で初めて商業用原子力発電所が運転開始されて15年余,その間,我が国においては,独自に軽水炉技術の開発・改良が重ねられ,その技術の定着化が着実に図られてきたこととあわせて,初期故障に係る原因を徹底的に究明し,所要の改善措置が講ぜられたこと,内外の事故例や運転経験等を踏まえ事故の未然防止対策の徹底及び信頼性の向上が図られてきたこと,定期検査及び改修工事の効率的実施が図られてきたこと,さらには,一部のプラントで長期連続運転(13ヵ月までの連続運転が認められている。)が達成されたこと等を挙げることができる。


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