昭和58年版
原 子 力 白 書 昭和58年10月
原子力委員会
昭和58年原子力年報の公表に当たって ここに,昭和58年原子力年報を公表いたします。
我が国の原子力発電は,昭和38年10月に日本原子力研究所において最初の発電に成功して以来20年の年月を経て,現在では,商業用原子力発電は24基,1,718万キロワットの規模に達しています。
原子力発電は,昭和57年度において総発電電力量の約20%を占め,また,放射線利用も工業,農業,医療等の分野で広くなされ,今や原子力は国民生活や経済活動に不可欠なものとなっています。
最近,国際的な石油需給の緩和,我が国のエネルギー需要の低下等内外のエネルギー情勢は大きく変化をみせています。原子力は大量かつ安定的な電力供給源として,最も有望なものですが,その開発利用には長期間を要するばかりでなく克服すべき課題も少なくありません。したがって,上述のような情勢変化がありましても,原子力発電及び原子力研究開発は引き続き積極的に推進していくことが必要であると考えます。
また,国際的には核不拡散問題に主体的に取り組むとともに,我が国の原子力開発利用の実績を生かして,これまで以上に進んで国際協力に努めていくこととしています。
発刊以来26回目を数える本年報は,新しいエネルギー情勢を踏まえた原子力開発利用のあり方について述べるとともに,昭和57年4月から昭和58年9月頃までの期間を対象として,原子力発電,放射線利用等の原子力利用の状況,原子力研究開発の進展状況,さらには,国際問題について記述しています。
本年報が,我が国の原子力開発利用の現状について広く国民各位の御理解を得るために役立つことができれば幸甚です。
昭和58年10月
国務大臣 原子力委員会委員長 安田 隆明
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