第11章 国際協力活動
1 研究開発等に関する国際協力

(3)国際機関との協力

i 国際原子力機関(IAEA)
 我が国は,保障措置技術,放射性物質輸送基準,技術援助等IAEAの主催する原子力に関する各種シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,情報の収集と交換を行っている。
 特に,IAEAは,「原子力経験国際会議」と題する国際会議を昭和57年9月13日〜17日に亘って開催し,61ヵ国,1,000余名の参加を得て各国から招待論文,応募論文の発表がなされ,これまでの原子力開発の各国の経験,現在かかえる諸問題,今後の開発の展望等について盛大な意見交換が行われた。我が国からは,関係者70余名が出席した。

ii 経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)
 OECD/NEAにおいては,「原子力施設の安全性」,「放射性廃棄物管理」,「原子力の開発と核燃料サイクルの経済的,技術的検討」,「放射線防護及び公共保健」の四分野を中心として技術的側面を主体とした活動が行われている。
 我が国は「ハルデン計画(プラント制御法及び計算機の応用に関する研究並びに燃料の性能及び信頼性に関する研究)」,「国際ストリパ計画(放射性廃棄物の地層処分に関する試験研究)」,「NEAデータバンク計画」及び「国際ウラン資源評価計画」等のプロジェクトに参加し,資金の分担及び専門家の派遣等を行っている。
 なお,NEAでは,従来の技術的側面を中心とした活動とともに,今後の原子力開発を進めていく上での阻害要因の解決等を積極的に図っていくための政策マターについても今後活動を強化していくことについて最近のNEAの運営委員会等で方針が出された。この一つの具体的な例として,昭和57年2月11日〜12日に亘って各国の原子力政策に影響力を持つハイレベルの関係者が,パリに集って今後の原子力発電の開発見通し,原子力発電の伸びに影響を与える諸要因,廃棄物問題等について議論を行った。このハイレベル会議の結果は,本年4月のNEAの運営委員会に報告され,これをうけて今後2000年までの原子力発電の見通し,阻害要因,高レベル廃棄物の国際協力による実証試験の実施の必要性等について,NEA事務局から,報告書の形にとりまとめられた。

iii 経済協力開発機構国際エネルギー機関(OECD/IEA)
 我が国は,OECD/IEAの場を通じて,「TEXTOR計画(プラズマと壁面の相互作用の研究)」,「核融合超電導磁石研究開発計画」及び「核融合材料照射損傷計画」等に参加し,専門家派遣,各種の情報交換を行っている。


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