第10章 核拡散防止
2 核拡散防止に関する我が国をめぐる二国間の動向

(1)日米再処理問題

 昭和56年5月の日米首脳会談において再処理問題について早急に恒久的な解決を図ることが合意され,その後,日米間で協議を行った結果,昭和56年10月30日ワシントンにおいて新たな共同決定の署名,共同声明の発表が行われた。
 〔共同決定,共同声明の骨子〕
i 日米両国は米国産核燃料の再処理に関する長期的取決めを昭和59年12月末までに行う。
ii それまでの間,東海再処理工場はその能力(210トン/年)の範囲内で運転する。
iii 第二再処理工場については,「主要な措置をとらない」との従来の制約を撤廃し,今後は,保障措置の改善等の観点から意見交換を行う。
iv 保障措置の改善に関して,対IAEA保障措置技術援助計画の枠組の中で,東海再処理工場において保障措置研究開発を行い,また,このために適宜日米間で協力を行う。
 なお,昭和59年12月末との期限については,今回の協議の過程において,「この期限内に長期的取決めを行うというものであって,その満了とともに東海再処理工場の運転を中断させるとの意図ではない。」との米側の確約が中川科学技術庁長官とマンスフィールド駐日米国大使との間で行われた。
 長期的取決めの協議を行う前提となる米国産核燃料から分離されたプルトニウムの利用に関する政策が昭和57年6月米国行政府部内で策定された機会をとらえ,中川科学技術庁長官は訪米しブッシュ副大統領,ヘイグ国務長官,エドワーズエネルギー長官等米国政府首脳と会談し,日米双方は再処理問題について包括同意方式により解決を図るため直ぐにも話合いに入り,早急な結着を図ることで意見の一致をみた。
 これを受けて,昭和57年8月東京,更に同年9月ウィーンにおいて日米再処理問題の包括的解決のための事務レベル協議が行われた。


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