第5章 核燃料サイクル
(参考)諸外国の動向

(2)再処理

i 米国
 米国の再処理工場は,3つの施設があるが現在運転しているものはない。
 ウェストバーレー及びモーリスの2工場は運転を断念し,バーンウェルの工場は,昭和52年4月に発表されたカーター前政権の再処理無期限延期政策により運転許可申請待ちである。
 しかしながらレーガン政権は昭和56年10月に発表した国内原子力政策において商業再処理無期限延期の解除を決定し,民間再処理を推進することとしており,今後の動向が注目される。

ii フランス
 フランスの再処理工場は,マルクールとラ・アーグの2ヵ所にある。ラ・アーグにおいては,フランス核燃料公社(COGEMA)が所管するUP-2プラントが稼動中であり,ガス冷却炉及び軽水炉用燃料の再処理を実施している。ガス冷却炉用燃料については,昭和42年から800トンU/年の処理規模で運転中であり,軽水炉用燃料については当該施設の前処理工程等の変更により昭和51年から400トン/U年の処理規模でガス冷却炉用燃料の再処理と交互に実施中である。また,軽水炉用燃料の再処理規模を拡大するため,現在新たな前処理工程等の建設が行われており,完成すると処理規模は800トンU/年に増強される予定である。
 さらに,日本,西独等の外国からの委託再処理のためUP-3Aプラント(処理規模800トンU/年)を建設中である。
 高速増殖炉用燃料の再処理については,これまでラ・アーグにおいて昭和44年から昭和53年までAT-1プラントが運転された。
 マルクールにおいては,現在TOPプラントが運転され,TORプラントが建設されている。

iii 英国
 英国の再処理工場は,英国核燃料公社(BNFL)が所管し,ウィンズケールにガス冷却炉用の天然ウラン燃料を再処理するため処理規模2,000トンU/年の工場が運転中である。また,ウィンズケールにおいて,ガス冷却用燃料及び日本,西独等の外国から委託再処理のためTHORPプラント(処理規模1,200トンU/年)を建設すべく,現在用地整備を行っているところである。

iv 西独
 西独では,主要電力会社12社が設立したドイツ核燃料再処理会社(DWK)が原子力発電所から発生する使用済燃料の再処理を所管している。
 DWK社はカールスルーエに再処理用実験プラントであるWAK(処理規模35トンU/年)の運転経験を有し,さらにWAKの運転経験を基に,昭和60年代後半の運転開始を目途に350トンU/年の規模の実用再処理工場を数ヵ所に建設すべく現在立地選定の段階にある。


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