第5章 核燃料サイクル

5 核燃料物質の輸送

 海外から我が国へ輸送される核燃料物質は,発電用低濃縮ウラン燃料の場合は,海外で濃縮された二酸化ウラン粉末又はシリンダー入りの六フッ化ウランの形態で輸送され,研究開発用及び研究炉用の高濃縮ウラン,プルトニウムの場合は,それぞれ金属ウラン,プルトニウム酸化物の形態で輸送されている。
 これらの核燃料物質は加工事業所間又は加工事業所と原子力発電所等の間においては主として,二酸化ウラン粉末,六フッ化ウラン,新燃料集合体の形で輸送されている。
 使用済燃料については,東海再処理工場で再処理するほかは,英国及びフランスに再処理を委託しているため,船舶で両国に輸送されている。昭和56年度は,東京電力(株)及び日本原子力発電(株)の使用済燃料が英国核燃料公社(BNFL)へ,また関西電力(株)の使用済燃料がフランス核燃料公社(COGEMA)へ輸送された。
 国内での使用済燃料の輸送については,各原子力発電所から,使用済核燃料専用運搬船「日の浦丸」により,東海村の動力炉・核燃料開発事業団東海再処理工場へ送られた。
 原子力発電の開発の進展に応じ,使用済燃料等の核燃料物質の輸送は,今後とも増々拡大することが予想される。このような輸送の本格化に対応して,既に民間の輸送サービス機関が事業を開始する一方,軽水炉使用済燃料用輸送容器の国産化も進められるなど,輸送事業は発展しつつある。


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