第4章 新型炉の開発
2 高速増殖炉

(4)実用化方策

 長期計画専門部会は,今後高速増殖炉の早急な実用化を図るため,基本問題分科会高速増殖炉小委員会を設置し,核燃料サイクルを含めた高速増殖炉開発の進め方について審議を行った。同小委員会で得られた結論は以下のとおりである。
i 我が国のエネルギーセキュリティの確保及び国際競争力育成等の観点から,21世紀初頭に高速増殖炉の本格実用化を達成することが必要になるものと考えられ,そのためには,実証炉の着工目標を1990年頃に置き,国と民間が一体となって努力する必要がある。
ii  本格的実用段階において経済性の達成された実用発電プラントを建設するためには,実証化段階が必要であり,実証炉を含む数基の100万kW級の炉を建設・運転し実用規模の発電プラント技術の実証,習熟及び経済性の確立を図ることが重要である。
iii  実証炉は,国の協力を必要としつつも,その建設・運転は民間が積極的役割を果たすことが望まれる。発注体制については,電気事業者が主体的役割を果たすことが望ましく,また受注体制については,受注側が今まで以上に大きな責任を負い,発注体制に対応できる体制を確立する必要がある。さらに,研究開発については,民間の役割を増大させながら,引き続き国が主体となり進める必要がある。
iv 当面,実証炉の設計概念を早期に整理し基本仕様を固めるとともに,実証炉の発注,受注及び研究開発を含む全体の開発体制を1983年頃までに確立し,実証炉の開発を遅滞なく進める必要がある。
v 実証炉用核燃料サイクル施設については,当面,原型炉用施設の設備増強等により対処するが,大型施設について,リードタイムを十分考慮しながら具体的な高速増殖炉の建設計画に応じて,その建設・運転及び研究開発の体制について今後検討する必要がある。
 これらの結論は,新しい長期計画に取り入れられ,2010年頃の実用化を目標に高速増殖炉の開発を進めることとなった。


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