第4章 新型炉の開発

2 高速増殖炉

 高速増殖炉は,発電しながら消費した以上の核燃料を生成する画期的なものであり,ウラン資源を最大限に利用し得るものであるので,核燃料資源問題を基本的に解決でき,将来の原子力発電の主流となるものと考えられている。このため,諸外国において早期実用化を目指して,積極的に開発が進められている。
 我が国においては,動力炉・核燃料開発事業団が中心となって高速増殖炉の実用化を目指し,研究開発を行っており,すでに,実験炉「常陽」の建設及び運転の経験を蓄積している。また,実験炉に続く原型炉「もんじゅ」については,昭和57年5月にその建設について閣議了解が得られ建設の準備が進められている。さらに,高速増殖炉の実用化を円滑に進めるためには実証炉の建設が必要であり,原子力委員会は,新しい原子力開発利用長期計画を決定するに当たって実用化の展望を踏まえた実証炉以降の開発体制,スケジュール,実証炉に関する研究開発計画,高速増殖炉核燃料サイクル等について検討し,2010年頃の実用化を目指し高速増殖炉の開発を進めることとした。


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