第3章 安全の確保,安全の実証及び環境保全
1 原子力施設等の安全確保

(3)放射性同位元素等の取扱いに係る安全確保

i 放射性同位元素の許可及び届出
 放射性同位元素の取扱いに伴う安全性の確保については「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法),労働安全衛生法,医療法,薬事法等に基づき所要の規制が行われている。
 放射性同位元素等を取り扱う事業所は,教育機関を始め,研究機関,医療機関,民間企業等多岐にわたり,その数も年々増加している。昭和56年度末の使用事業所数は,4,144事業所,販売事業所数は182事業所,廃棄事業所数は8事業所となっており,使用,販売,廃棄事業所の総計は4,334事業所となっている。

ii 放射性同位元素等の安全管理対策の実施
 近年,放射性同位元素や放射線発生装置が著しく普及・拡大しているが,その取扱いに係る安全の確保を図るため,昭和56年度は,放射線障害防止法に基づき,許認可等の厳正な審査,立入検査等,監督指導の強化等を図るほか,放射線安全管理講習会を開催した。
 さらに,昭和55年5月,放射性同位元素装備機器の機構の設計承認・確認制度,大線源等使用施設の使用開始前の施設検査及び定期検査制度,放射性同位元素等の運搬物確認制度等の創設並びに放射線取扱主任者制度の改善等を内容とする放射線障害防止法の改正が行われ,昭和56年5月までに全面施行された。

iii 放射性同位元素等の輸送の安全確保
 放射性同位元素等の輸送の規制については,放射線障害防止法,船舶安全法,港則法及び航空法並びにこれらに基づく総理府令,運輸省令等により行われている。
 船舶及び航空機による運搬については,既に昭和52年から運搬の確認が行われてきたが,昭和55年の放射線障害防止法の改正により陸上における運搬についても,昭和56年度から運搬の確認等が行われている。

iv 放射性同位元素等の廃棄物処理処分
 放射性同位元素取扱事業所で発生する極低レベルの液体状及び気体状の放射性廃棄物については,必要に応じ適切な処理を施し,法令に定められた基準値を十分に下回ることを確認したのち,環境中に放出している。
 また,液体状及び固体状の放射性廃棄物のうち,各事業所で処理処分することが困難なものについては,一時,各事業所の保管廃棄設備に保管された後,廃棄業者である(社)日本アイソトープ協会に引き渡されている。
 同協会では,容器に密封されたこれらの廃棄物を専用トラックで全国5ヵ所(関東2,関西,九州,東北)の貯蔵所及び中継所に集荷し,種類別に保管したうえ最終的には日本原子力研究所に引き渡している。日本原子力研究所では,これらの廃棄物について処理し,コンクリートピットに保管廃棄している。

v 放射性同位元素等取扱事業所における事故
 昭和56年度における放射性同位元素等に係る事故は,被ばく1件であった。これについては,立入検査等所要の措置を講じた。


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