第2章 原子力発電
4 軽水炉技術の定着化等

(2)軽水炉の改良標準化等

 軽水炉の改良標準化については,国,電気事業者及び機器メーカーが一体となり,昭和50年度から昭和55年度にかけて二次にわたる改良標準化計画が進められ,信頼性及び稼働率の向上,定期検査の効率化,従業員の作業放射線量の低減等の成果が得られた。これらの成果はその後新たに建設されるプラントに積極的に採用されている。
 さらに,昭和56年度からはこれまで実施してきた第一次,第二次改良標準化プラントをベースとして,機器・システムはもちろん炉心を含む原子炉本体に至るまで自主技術を基本として国際協調を図りつつ下記の一層の向上を図ることにより,日本型軽水炉を確立することを目標に5ヶ年計画で第三次改良標準化計画が実施されている。
   ・信頼性の向上    ・従業員の作業放射線量の低減
   ・稼働率の向上    ・立地効率の向上
   ・運転性の向上    ・リードタイムの短縮化

 なお,通商産業省では,第三次改良標準化と関連して従業員の作業放射線量の低減等に寄与するインターナルポンプ設備及び日間負荷追従運転を可能とする高性能燃料の実用化を推進するため,昭和56年度から(財)原子力工学試験センターに委託して確証試験を実施している。
 また,通商産業省においては,昭和57年度から経済性をも考慮しながら原子力発電所の安全管理・運転管理の基盤を抜本的に整備し,将来の原子力発電所基数大幅増加時代にふさわしい原子力発電所をめざし積極的な検討が開始された。
 一方,原子力発電所の中長期的な立地選択の幅の拡大を図るため,通商産業省において,昭和52年度から地下立地方式及び海上立地方式等の新立地方式について積極的な調査・検討が進められており,地下立地方式については昭和56年度における総合評価で技術的・経済的可能性が明らかにされた。


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