第2章 原子力発電
3 原子力発電所の立地関連状況

(2)原子力発電所の立地をとりまく状況

 近年の原子力発電所の立地の進展状況をみると,昭和56年度においては,新地点である東北電力(株)巻原子力発電所及び北海道電力(株)泊発電所の2地点が,また昭和57年度上期においては,九州電力(株)玄海原子力発電所3号機・4号機が電源開発基本計画に組み込まれ,明るいきざしが見えるものの,全体的に電源開発基本計画への組み入れは,電力施設計画の予定に比べ遅れぎみであり,立地の進展は必ずしも順調とは言い難い。上記の新規2地点についても,地元への申し入れから電源開発基本計画への組み入れまでに,10年以上の期間を要している。

 また昭和48年以来原子力発電所の設置許可処分等に対して行政訴訟や異議申立てが行われているが,昭和56年度においては,新たに浜岡原子力発電所設置変更(3号炉増設)許可処分に対する異議申立てが行われた。
 原子力発電所の立地をめぐる行政訴訟等
 (i) 行政訴訟
 ・伊方発電所原子炉設置許可処分取消請求控訴
 ・伊方発電所原子炉設置変更(2号炉増設)許可処分取消請求
 ・東海第二発電所原子炉設置許可処分取消請求
 ・福島第二原子力発電所原子炉設置許可処分取消請求
 ・柏崎・刈羽原子力発電所原子炉設置許可処分取消請求
 (ii) 異議申立て
 ・柏崎・刈羽原子力発電所原子炉設置許可処分に対する異議申立て(合計4件)
 ・福島第二原子力発電所設置変更(3・4号炉増設)許可処分に対する異議申立て
 ・川内原子力発電所設置変更(2号炉増設)許可処分に対する異議申立て
 ・浜岡原子力発電所設置変更(3号炉増設)許可処分に対する異議申立て
 さらに,原子力発電所の設置の可否を住民投票により問うという条例が,昭和57年7月高知県高岡郡窪川町議会で可決成立した。この条例は,我が国初の試みであり,今後の動向に注目していく必要がある。


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