4.その他

(1)核不拡散及び原子力平和利用協力に関するレーガン大統領声明

(1981年7月16日)

 わが国は,国際問題においていくつかの大きな挑戦に直面している。それらのうちの最も重大なものの一つは,新たな国々への核爆発物の拡散を防止する必要性である。現在以上の核拡散は,国際平和,地域的及び世界的安定並びに我が国と他の国々の安全保障上の利益に対し重大な脅威をもたらすであろう。我が国は35年前の原子力時代の出現以来,超党派的基盤のもとに,核爆発物の拡散防止を公約してきたが,かかる公約は,他の大多数の国々と共通のものである。この任務の緊急性は,最近中東における不吉な出来事によって高められた。
 核拡散の危険を減少させる問題は,多くの側面を持ち,我々はこの問題に効果的に対処するため統合的アプローチを必要とする。つまるところ,我々の努力が成功するか否かは,地域的及び世界的な安定性を増大させると共に他の諸国を核爆発物所有へと狩り立てる動機を減少させる我々の能力にかかっている。このことは,強力で信頼しうる米国,確固とした他国との同盟及び他国との関係改善,そして安定した世界秩序のために必要不可欠な種々の任務への献身を要求するものである。
 私は本日,我が国の核不拡散に関する長期的な目標を強化し,かつ,いくつかの基本的な指針を包含する政策の枠組みを発表するものである米国は
(1)基本的国家安全保障及び外交政策の目標として,新たな国々への核爆発物の拡散防止を追求する。
(2)地域的及び世界的安定を改善し,他の国々の正当な安全保障上の利害に関する理解を促進するよう働きかけることによって,核爆発物を取得しようとする動機を減少させるよう努力する。
(3)核兵器不拡散条約及びラテン・アメリカ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)を受け入れていない国々が,これら条約に加盟することを今後とも支持する。
(4)これらの条約又は国際保障措置協定に対する重要な違反を国際秩序及び米国の2国間関係に対し深刻な影響を及ぼすものとみなし,また非核兵器国によるいかなる核爆発にも重大な危惧をもたざるを得ない。
(5)国際保障措置体制の改善のため他の国々と協力して国際原子力機関(IAEA)を強化することを強力に支持し続ける。
(6)核拡散の危険と闘うための各種手段につき合意を作り出すため,他の国々と一層効果的に協力する。
(7)機微な核物質,設備及び技術の移転(特に,核拡散の危険が存在する地域への)を引き続き禁止すると共に重要な核物質の新規供給約束の前提条件として,非核兵器国におけるあらゆる原子力活動に対しIAEAの保障措置を要求することにつき合意の成立を求める。
 私は,さらにトラテロルコ条約第1議定書批准のために速やかに上院の助言と承認を求めることを声明する。
 米国は,十分な保障措置とコントロールの下で,エネルギー安全保障上の要求に対応するための民間の原子力計画を含む原子力平和利用について他の諸国と協力する。米国の多数の友好国及び同盟国は原子力に強い関心を有しており,近年,これら諸国は,彼らのニーズを認識すべき米国の能力に対する信頼を失ってしまった。
 我々は米国を,十分な保障措置の下での原子力平和利用協力における予見可能かつ信頼出来るパートナーとして再び確立しなければならない。このことは我々の目標とする核不拡散にとって必要不可欠である。もし米国がこのようなパートナーたり得なければ,他の諸国は各々独自の道を歩み,米国の影響力は減少するであろう。そして,核拡散問題に対処するのに必要な他の諸国からの支持が効果的には得られなくなるであろう。
 上記の目標を達成するため私は,
(1)必要な法律上の要件が満たされている場合には,各国との原子力平和利用協力協定に基く各種の輸出申請及び許可申請に対し迅速な措置が取られるよう直ちに努力を開始することを行政府関係部局に指示すると共に,
(2)原子力規制委員会(NRC)に対しては本件に関し速やかに行動することを要請する。
 本政権としてはまた,進んだ原子力計画を有し,かつ核拡散の危険がない諸国における民間の再処理及び高速増殖炉開発を禁止したり,或は抑制したりしない。
 米国は,原子力安全性及び環境上健全な核廃棄物管理方法の分野におけるIAEAの計画及び他の国際的な協力作業を支持する。
 これらの政策を実施するため私は,国務長官に対し,他の関係部局と協力しつつ,核拡散の危険を減少させ,国際的な核不拡散レジームを強化し,かつ米国の安全保障上の利害に合致する形で国際原子力問題における米国のリーダーシップ的役割を再確立するための努力に優先的な注意を払うよう指示するものである。

(2)合衆国産の特殊核物質の再処理についての共同決定

 1977年9月12日に発表された日本国政府及びアメリカ合衆国政府の共同声明において述べられた了解,原則及び意図(1980年7月23日付の日本国大使館の口上書及び1980年7月25日付の国務長官の書簡並びに本日両国政府間で交換された口上書に盛り込まれた修正を含む)に基づき,かつ,日本国の核兵器の不拡散に関する条約に対する変わらない支持及び同条約中の保障措置に関する日本国の約束,取り扱われるプルトニウムの量が限られていること,工程が注意深く監視された実験的性格のものであること,並びにIAEAによる効果的な保障措置の適用の規定及び改良された保障措置の実験の規定にかんがみ,
1.日本国政府及びアメリカ合衆国政府は,ここに,1968年2月26日の原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(改正を含む。)第8条C項に基づき,同協定第11条の規定が,1981年6月1日までの間,1977年9月12日付の共同決定第1項に言及される99トンの燃料資材に加え,合衆国から受領した追加の50トンを限度とする燃料資材を含む照射を受けた燃料要素を動力炉・核燃料開発事業団の東海施設において再処理することに効果的に適用されるとの共同決定を行う。
2.保障措置がピューレックス再処理施設一般に効果的に適用され得るか否かに関する決定はここでは行わない。
3.上記協定第11条の規定が,特殊核物質又は照射を受けた燃料要素であって,上記項に言及された期間内に再処理される照射を受けた燃料要素を超えたものの再処理又はその他の形状もしくは内容の変更に対して効果的に適用されるかどうかについて,同協定第8条C項に其づき今後決定を必要とすることには何らの変更もない。しかしながら,もし上記施設の運転方式が全面的な混合抽出法に変更される場合には,合衆国は,混合抽出法による運転の範囲及び性格に関する合衆国の法律要件及び双方の合意に従って,肯定的な共同決定を行う用意がある

1981年2月24日

日本国政府のために
角谷 清

アメリカ合衆国政府のために
トーマス・R・ピッカリング

(3)石油代替エネルギーの供給目標

(昭和55年11月28年閣議決定)

1.開発及び導入を行うべき石油代替エネルギーの種類及びその種類ごとの供給数量の目標
 昭和65年度までに開発及び導入を行うべき石油代替エネルギーの種類は,次の表の左欄に掲げるとおりとし,昭和65年度におけるその種類ごとの供給数量の目標は,同表の右欄に掲げるとおりとする。

 備考
1 石油代替エネルギーの供給数量の目標の欄に掲げる数量は,石油代替エネルギーの供給数量をそれぞれ原油の数量に換算したものである。
2 石炭の供給数量は,16,350万トンである。
3 原子力の供給数量は,原子力発電による電気の供給数量であり,原子力発電に係る施設の出力は5,100万キロワットないし5,300万キロワット,年間発電電力量は2,920億キロワット時である。
4 天然ガスの供給数量は,輸入される天然ガスの供給数量4,500万トンと本邦において生産される天然ガスの供給数量760万キロリットルとの合計数量である。
5 水力の供給数量は,水力発電による電気の供給数量であり,水力発電に係る施設の出力は,一般水力発電(水力発電のうち揚水式のものを除くものをいう。)に係る施設の出力2,600万キロワットと揚水式水力発電に係る施設の出力2,700万キロワットとの合計出力5,300万キロワット,年間発電電力量は1,230億キロワット時である。
6 地熱の供給数量のうちには,地熱を利用する火力発電による電気の供給数量が含まれており,当該火力発電に係る施設の出力は350万キロワット,年間発電電力量は245億キロワット時である。
7 その他の石油代替エネルギーとは,太陽熱,石炭液化燃料等をいう。

2.その他石油代替エネルギーの供給に関する事項
(1)この目標は,民間の最大限の理解と努力,政府の重点的かつ計画的な政策の遂行及び官民の協力の一層の強化を前提としたものであり,環境の保全に留意しつつこれを達成するものとする。
(2)この目標は,エネルギーの需要及び石油の供給の長期見通し,石油代替エネルギーの開発の状況その他の事情の変動のため必要があるときは,これを改定するものとする。

(4)我が国の原子力発電所の時間稼動率及び設備利用率

(5)原子力知識の普及啓発

 原子力に関する知識の普及を図るため,地方公共団体等の職員,高等学校の教職員等を対象とした「原子力セミナー」を開催するほか,10月26日の「原子力の日」を中心に,講演会,映画会,展示会,作文募集等の行事を全国各地で実施するとともに,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌等の広報媒体を活用して広報活動を行っている。
 「原子力の日」は,昭和39年7月31日原子力利用の推進のため,広く国民一般の原子力についての理解と認識を深めることを目的として毎年10月26日とする旨,閣議了解により制定された。
 なお,10月26日は,日本原子力研究所東海研究所において,昭和38年,動力試験炉(JPDR)により我が国ではじめて原子力発電に成功した日であり,また昭和31年,国際原子力機関憲章に我が国が署名した日でもある。

(9)昭和55年度原子力モニター

① アンケート調査
イ 報告期間  昭和56年3月10日~3月25日
ロ 調査方法  郵送による選択回答方式
ハ 調査対象  昭和55年度原子力モニター(全国509名)
ニ 回答者  363名(回答率71.3%)

② 随時報告
イ 報  告  数        164件
ロ 事項別報告数
・原子力広報          42件
・開発利用           36件
・原子力行政          24件
・廃棄物処理          18件
・安全性・事故         15件
・原子力教育          4件
・代替エネルギー・省エネルギー 10件
・その他            15件

(6)昭和55年度・昭和56年度上期国際原子力機関主催シンポジウム一覧

(7)原子力研究開発利用年表


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