第II部 原子力研究開発利用の動向
第8章 原子力産業

2 核燃料サイクル関連産業

(1)核燃料加工事業
 核燃料加工事業は,我が国の核燃料サイクル事業中,最も事業化の進んだ分野であり,ほぼ国産化が達成されている。
 現在,核燃料加工を行っている社には,三菱原子燃料(株)(加圧水型炉用,再転換420tU/年,成型加工420tU/年),日本ニュクリア・フュエル(株)(沸とう水型炉用,成型加工490tU/年),原子燃料工業(株)(加圧水型炉用,成型加工85tU/年及び沸とう水型炉用,成型加工40tU/年)及び日本核燃料コンバージョン(株)(昭和55年1月の住友金属鉱山(株)からの分離独立による)(沸とう水型炉用,再転換220tU/年)の4社がある。
 核燃料加工事業は,技術導入を基盤として行われているが,現在では,ほぼ国産化が達成されており,品質面においても,極めて高品質な製品を製造している。

 なお,ジルカロイ被覆管については,(株)神戸製鋼所,住友金属工業(株),三菱金属(株)によって,ほぼ国産化が達成されており,今後はジルコニウム鉱石から被覆管等の製品に至る一貫した国産体制の確立を図る必要がある。

(2)その他の核燃料サイクル関連事業
 核燃料加工事業以外の核燃料サイクル関連の分野については,その事業化への体制の整備が進められているところである。
 ウラン濃縮については,これまで,動力炉・核燃料開発事業団の研究開発を通じて遠心分離機製造メーカーが育成されてきており,遠心分離機製造メーカー3社の製造能力も高まってきている。今後,遠心分離機の量産化を図る必要があることから,動力炉・核燃料開発事業団の研究開発と連携を取りつつ,メーカーにおいても量産体制の検討が進められてきている。一方,電力業界は昭和55年11月,電力業界を中心とする民間が将来,ウラン濃縮商業プラントの建設,運転を行うとの方針を決定し,昭和56年3月,電気事業連合会にウラン濃縮準備室を設け,ウラン濃縮国産化をめざした調査検討を進めている。また,ウラン濃縮国産化に合わせて必要となる転換事業についても民間において検討が進められている。
 再処理については,商業用再処理工場建設を担当するため,昭和55年3月,電気事業者を中心とする関連100社の共同出資による日本原燃サービス(株)が設立され,商業用再処理工場建設に向けて,設計研究,立地調査等が進められている。
 更に,放射性廃棄物については,今後の増加に対応するために発生量低減化などについて民間独自の技術開発が活発化している。


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