第II部 原子力研究開発利用の動向
第7章 基礎研究等

4 理化学研究所における基礎研究

 理化学研究所においては,原子力関係の基礎研究として,核融合に関する研究,160cmサイクロトロンによる総合研究,重イオン線型加速器による総合研究,食品照射及び放射線の細胞生物学的効果に関する基礎的研究及び環境における中性子線の情報の把握と線量評価に関する研究を実施している。
 陽子からネオンまでのイオンを加速できる160cmサイクロトロンは,昭和41年に設置されて以来,理化学研究所の研究者との共同研究,嘱託・研修生・研究生等の常駐者による研究及び照射サービスにより,外部の研究者にも広く利用されており,多くの成果をあげてきている。また,昭和55年度には,陽子からウランまでのイオンを加速できる重イオン線型加速器が完成するとともに,さらにそれを入射加速器とするリングサイクロトロンの建設を開始した。これが完成すれば,従来の加速器では,困難だった重イオン核反応機構の解明,超ウラン元素の生成等の研究をはじめ,物理,化学,工学,生物,医学等の幅広い分野の研究に有効に利用されることとなる。


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