第II部 原子力研究開発利用の動向
第4章 核燃料サイクル

3 核燃料加工

(1)軽水炉用核燃料加工
 軽水炉用の核燃料加工は,濃縮されたウラン(UF6)を粉末(UO2)にする「再転換」と,これをペレット状に加工し,被覆管の中に収納して燃料集合体とする「成型」の工程がある。我が国ではこの部門の事業化が進み,4つの会社が携わっている。
 「再転換」加工のうち,加圧水型炉燃料用のウランの加工については,全て国内で行われている。また沸騰水型炉燃料用のものについては,一部を海外に委託しているが,将来は全てを国内で行うべく逐次能力の増強を計画している。

 「成型」加工では,加圧水型,沸騰水型ともに全量が国内で加工されているが,燃料需要の増大が見込まれるため,増強計画が検討されている。
 なお,ジルカロイ被覆管の製造については,ほぼ国産化が達成された。

(2)新型炉用核燃料加工
 プルトニウムウラン混合燃料(MOX燃料)の研究開発は,動力炉・核燃料開発事業団を中心に実施してきており,新型炉燃料としての加工実績も約45トンに達し,世界的にトップレベルにある。
 現在,年間製造能力は,ATR「ふげん」用10トンMOX/年,FBR「常陽」用1トンMOX/年であり,これらの施設では,「ふげん」,「常陽」の運転に必要なMOX燃料を製造している。
 一方,これらのMOX燃料の原料となるMOX粉末は,従来,外国からプルトニウムを購入していたが,最近は,動力炉・核燃料開発事業団が独自に開発した「マイクロ波直接脱硝法」によって,東海再処理施設から得られた硝酸プルトニウム溶液を転換して得られるようになった。
 昭和56年8月から9月にかけて,このようにして得られた純国産MOX燃料が始めて「ふげん」に装荷され,国産プルトニウム利用のサイクルの輪が完成された。


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