昭和56年版

原 子 力 白 書
     
昭和56年12月

原子力委員会
 

昭和56年原子力年報の公表に当たって

 ここに,昭和56年原子力年報を公表いたします。
 我が国における原子力開発利用は,この四半世紀の間に大きな進展を遂げ,国民生活や経済活動に欠くことのできないものとなっており,特に,将来の我が国のエネルギー供給においてますます大きな役割を果たしていくものと期待されております。
 原子力発電については,既に22基,約1,550万キロワットの規模に達し,昭和55年度の総発電電力量の約16%を占めるに至っておりますが,原子力に対する期待に応えるためには,今後更に,原子力に対する信頼の確立と安全の徹底を図り,立地を促進し,原子力発電の開発を一層円滑に進めていかなければなりません。
 また,これまでの研究開発努力の結果,いくつかのプロジェクトについては,実用化を図る段階に達しており,今後これを推進していく必要があります。
 更に,国際的には,国際核燃料サイクル評価(INFCE)後の情勢を踏まえ,核不拡散と原子力平和利用の両立をめざし,国際協力を進めていかなければなりません。
 このような情勢を踏まえ,原子力委員会においては,この時期に我が国の原子力開発利用長期計画を見直すことが重要であると考え,目下,新長期計画の策定に全力を傾注しているところであります。
 本年報は,以上のような動向を重点的にとりあげつつ,昭和55年10月から約1年間のできごとを記述しておりますが,原子力開発利用の現況について広く国民各位のご理解を得ることに役立つことができれば幸いであります。

昭和56年12月

国  務  大  臣  
原子力委員会委員長 中 川 一 郎
 

 
目   次

第I部 総     論
 
第1章 原子力開発利用の新展開を迎えて
 
1.四半世紀の歩みと今後の方向
   (1)四半世紀の歩み
   (2)今後の方向
2.原子力発電の推進とその基盤整備
   (1)世界の原子力発電の動きと我が国の立場
   (2)原子力発電推進のための基盤整備
3.新たな段階を迎えた研究開発
   (1)研究開発の進展
   (2)実用化への課題
4新長期計画の策定
 
第2章 原子力開発利用の進展状況
 
1.原子力発電
2.新型炉の開発
3.核燃料サイクルの確立
4.安全研究等の推進
5.原子力船の研究開発
6.核融合の研究開発
7.放射線利用
8.原子力産業
 
第3章 核不拡散への対応と国際協力
 
1.核不拡散をめぐる国際動向
2.我が国の核不拡散に対する基本的考え方
3.核不拡散に対する我が国の対応
4.原子力の研究開発等に関する国際協力
 
第II部 原子力研究開発利用の動向
 
第1章 原子力発電
   1.原子力発電開発の状況
   2.原子力発電所の運転状況
   3.原子力発電所の立地関連状況
   4.軽水炉技術の定着化等
   (参考)諸外国の動向
第2章 安全の確保,安全の実証及び環境保全
   1.原子炉施設等の安全確保
   2.原子力の安全研究
   3.原子力発電施設等の安全性実証試験
   4.環境放射能調査
   5.温排水に関する調査研究
第3章 新型炉の開発
   1.新型転換炉
   2.高速増殖炉
   3.多目的高温ガス炉
   (参考)諸外国の動向
第4章 核燃料サイクル
   1.ウラン資源
   2.ウラン濃縮
   3.核燃料加工
   4.再処理
   5.核燃料物質の輸送
   6.放射性廃棄物の処理処分対策
   (参考)諸外国の動向
第5章 核融合及び原子力船の研究開発
   1.核融合
   2.原子力船
   (参考)諸外国の動向
第6章放射線利用
   1.放射線利用の動向
   2.農林水産業への利用
   3.工業への利用
   4.医学への利用
第7章基礎研究等
   1.基礎研究の動向
   2.日本原子力研究所における基礎研究
   3.放射線医学総合研究所における基礎研究
   4.理化学研究所における基礎研究
   5.国立試験研究機関における原子力試験研究
第8章 原子力産業
   1.原子力発電関連機器産業
   2.核燃料サイクル関連産業
   3.RI・放射線機器産業
第9章 核拡散防止
   1.核拡散防止をめぐる国際動向の概要
   2.核拡散防止に関する我が国をめぐる二国間の動向
   3.核拡散防止に関する国際秩序形成のための国際的協議と我が国の立場
   4.保障措置
   5.核物質防護
第10章 国際協力活動
   1.研究開発等に関する国際協力
   2.国際交流
 
第III部 資料編
 
   1.原子力委員会,原子力安全委員会及び原子力関係行政組織
   2.原子力委員会の決定等及び専門部会報告
   3原子力関係予算
   4.その他